2012年10月06日

30 下見下り、のはずが…(大和丹生川1◆126本目)

水位:0.70m(貝原) 気温:23℃(五條) 天気:曇り 区間:滝橋〜下田橋(約4.7km)
勾配:9.6‰(135m→90m) 所要時間:1.75h メンバー:ソロ



 この三連休は長良川一泊二日の予定で段取りしていましたが、諸般の事情でキャンセルとなってしまいました。先週日曜日に襲来した台風19号の影響もすでに乏しく、まあ、日帰りで一日くらいもらって、鈴鹿山脈の川探しでも行ければ…と帰阪したんですが、思いもよらない言葉が待ち受けていました。

 「一泊二日フリータイム」

 フハッ、夢のような言葉です。さすがにそこまでは…と固辞しましたが、義父母や姉夫婦など一族みんなで小浜に帰るらしい。
 ということで、降って湧いてきた千載一遇のこの機会。現在の生活スタイルではなかなか行ける機会のない場所にということで、紀伊半島南部、十津川温泉方面に向かおうと決めました。

 午前中を子供たちと過ごし、家を発ったのが正午ごろ。おそらく今からだと、現地への移動だけで終わりでしょう。それはちょっともったいないなあということで、十津川温泉への道中にある川を探し、以前下見だけしていた大和丹生川にターゲットロックオン。

 ところで、初めての川に臨むにあたり、安全の確保のために事前の下見は必須です。下見は基本的に車道から、車上または徒歩にて行いますが、川から道が外れていたり、高低差がありすぎたり、木々など遮蔽物に邪魔されたりするなどの理由で川相を確認できない場合もあります。
 このような場合は、もう実際に下って確かめるしかありません。しかし、この方法は相応のリスクを負うことになるので、自身の技量、装備を鑑みれば、基本的にはやるべきでないと考えています(実際、矢田川で痛い目に遭いましたし)。それでも敢行する場合は、以下のような条件を設けるようにしています。

 @書籍、インターネット、口コミなどから情報を得て問題ないと確認できている。
 AGoogleMapなど航空写真、地形図を確認して川相を確認できている。

 また、さらなるリスクヘッジ策として、「渇水時に下る」という手段もあります。下「見」ならぬ下「下り」といいますか。ただ語感が変なんで「下見下り」という表現にします。

 前置きが長くなりましたが、大和丹生川では、『生子のゴルジュ帯(Obus Gorge)』がその「下見」では確認できない区間に当たります。

 @の結果:核心部が存在するらしい。車道からギリギリ見える位置にあるのがおそらくそれと思われます。ポーテージの可否は不明。もしNGなら右岸側が集落に近く、最悪そこまで引き返して上陸するしかありません。

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 Aの結果:核心部付近から、生子トンネル出口(バス専用道)の鉄橋付近まで最大で約1km続くものと考えられます(下記川地図参照)。

 水位データは前回下見時とほぼ同等(貝原0.71m)。ギリギリ下れるはずと踏んでいたんですが、あれえっ? 前回より明らかに少ない…。

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 前回はこれ↓。なんか、10cmくらいは水位違うような…。

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 思うに、貝原観測所は黒渕ダム上流に位置しており、上流域は同水位でも、ダムの取水量によって下流域は変動するケースがあると考えられます。あまりアテにしてはいかんということですね。この水量だとかなり歩かされることになりそうですが、まあ、「下見下り」と考えれば悪くないと思います。

 もともと現地到着が遅かったうえ、下見と区間設定に時間を要したため、スタートは14時50分過ぎまでずれ込んでしまいました。今の時期は日没がだいたい17時半くらいなんで、あまり余裕はありません。漕行予定距離は5km弱。生子のゴルジュを抜けるまでに1時間、発電所まで30分、発電所以降の増水区間は30分くらいで進めたいところです。

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 予想していたとおり、瀬を下れるだけの水量はありません。ライニングダウンしながら越えていきます。

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 まもなく核心部到着。ほとんど、滝です。

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 懸念していたポーテージルートは、右岸にありました。進退についてしばらく悩みましたが、結論はポーテージ。せっかくここまで来て…という思いもないではないですが、そもそもこの水量では下るだけの幅がない。また仮にどこかに張り付いて泳ぐ羽目に陥ったとして、ゴルジュだと遡上できずフネを回収できないリスクが格段に上がります。

 滝の直下から再開。よく見ると、右岸側にアンダーカットがあります。危な過ぎますやん…。

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 私が乗るリンクスIの幅は確か90cmでした。それが、両端を擦るくらいに川幅が狭窄した箇所がいくつもあります。今日、この大和丹生川で漕破本数は通算126本目になりますが、その中で最も狭い川だといっていいでしょう。渓谷の象徴的な存在であるゴルジュは、川相の中で最も好きなもののうちの一つですが、ここまで狭いと逆に引いてしまいますわ。((((;゚Д゚)))))))
 もし、核心部で泳いだら、ここはすべて泳いで流されることになります。私だったら、間違いなく心折れるやろなあ。

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 視界が開けて砂の堆積した場所に出ました。一瞬、終わったかと思いましたが、その後もゴルジュ帯は延々と続く。経験則では、こういう狭隘部はあってもあまり長くないものなんですが、この川はケタ外れに大規模。確かに最大で1kmと見積もってはいましたが、まさかフルで続くとまでは思っていませんでした。
 不気味な静寂。異世界に迷い込んでも不思議と思わない神秘的空間。押し寄せる圧迫感に、徐々に精神を崩壊させられていく。トラウマになるかも…。しかし、他ではそうお目にかかれない絶景であることも確かでした。

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 視界が開け、バス専用道の高架橋が見えてきました。路線がえらい直線的な作りなんで、むしろ鉄道っぽいなあと下見時に感じておったんですが、五新線という五條-新宮間を結ぶ鉄道の計画が過去にあったみたいですね。

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 時刻は15時50分前。当初計画の1時間、使い切ってしまいました。
 川相は、何事もなかったかのように再びベースのそれに戻る。橋を過ぎて大きく右にカーブを描いたところで川幅いっぱいに横たわる岩塊が現れました。風化して丸くなってますが、よくみればコンクリ。流された橋梁か? 瀬には、鉄骨が沈んでいます。危険以前に水量不足のためポーテージしました。

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 その後も瀬はほとんどライニングダウン。まあ、覚悟はしてましたけど。

 西吉野第二発電所前まで到着。時刻は16時10分。少し貯金ができました。
 上流の黒渕ダムで取水した水がここで戻され(最大20トン)、一気に増水していますが、同時に濁ってしまってもいます。水力発電はふつう、その川の水を利用して行うので、発電放水口より下流はその川本来の水量となるはずなんですが、この川は違う。本来の水量より多くなっており、厳密に言えば水質も本来のそれとは異なっています。
 プラスオンされているのは、実は水系の異なる十津川の水だったりします。だからこの大和丹生川は、紀ノ川水系でありながら、ある意味新宮川水系でもあると言えますね。わざわざ十津川の猿谷ダムから導水する主目的は、紀伊平野の灌漑です(詳細)。
 十津川の水は、発電に用いられた後「紀の川用水」という水路に導水されます。導水のためには取水堰が必要ですが、それが西吉野頭首工と呼ばれる堰となります。下見した時は取水されずオープンで漕行時もフツーに下れました。どうやら開閉式と思われます。

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 水はかなり冷たく、寒くなってきました。日没も近いので、一気に漕ぎ抜ける。
 ようやくゴール間近まで辿り着きました。これまでひたすら平瀬ばかりの川相でしたが、最後にガツンと大きいのがあります。
 しょっぱなは人工物がらみなので、じっくりと下見しました。右岸側は岩がらみのドロップ、左岸側はシュートですが、コンクリとテトラがらみで、どっちもどっちな感じ。

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 後半は下田橋直下にあります。まともに突っ込むとひっくり返りそう。

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 まあ、前半は左岸側からかな。テトラを避けるため、左岸ベタから橋桁側に思いっきり寄せてそのままエディーキャッチ。ターンして、後半の瀬に突っ込む。もちろんドロップではなく、右岸側の崩れたコースを選択。

 下田橋でテイクアウト。16時40分。けっこう時間かかりましたが、日没には何とか間に合いました。

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 回送中に日が暮れる。雨もポツポツと降ってきました。クルマのライトを灯して撤収。とりあえず、コンビニで晩メシでも食いながら、雨が止むまで待つかなあ。

 本日の大和丹生川で、今年初めて下る川としては通算20本目となりました。過去最高だった2004年の記録(17本)を越え、ついに大台に。
 下見下りのつもりで、じっくり堪能するのは次回以降と思って臨みましたが、どうしてどうしてなかなかシビアなダウンリバーでした。とにかくゴルジュの規模がすごい。そして、狭い。おかげで深く印象に残るものとなりました。168号に沿って下見する際、生子地区はショートカットされてて、ゴルジュ帯の存在を見落としやすいんですよね。「道から見えないところに核心部あり」という格言を改めて思い出しました。

 ■川地図


より大きな地図で 大和丹生川(黒渕ダム〜吉野川出合) を表示

 さて、相変わらず雨降ってますが、そろそろ十津川温泉方面に向かおうかとカーナビをセットすると、五條市大塔町辻堂で「国道168号通行止め 迂回路なし」と出て通過できなくなってます。現地に辿り着くためには、一度和歌山市まで出て、海沿いに走って白浜から入るという大迂回ルート。ショッキ! さすがにこんな距離走れねえ。たしか、7月に一度行こうとしたときも、同じ状況で諦めたんでした。しばらく腐ってましたが、どうにも諦めきれず奈良県道路規制情報をチェックしたところ、どうも通れそうな感じ。十津川村観光協会のページを見ても、168号が不通とは一言も書いてない。これは、カーナビのほうが間違っているんではなかろうかと、思い切って約20km先の通行止めポイントまで行ってみることにしました。
 はたして、やはり迂回路はありました。うわー、あやうくカーナビにダマされるところでしたわ。いや、7月時点でも復旧してたから、一度はダマされてたことになります。
 かくして168号を南下。ここを走るのは、ウチの奥さん(当時結婚前)と大塔川を下って以来ですから、かれこれ6年ぶりになるんかあ。ずっと行きたかった場所でしたが、随分と時間が経ってしまいました。


ニックネーム ラナ父 at 05:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 近畿>大和丹生川 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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